私自身も長く愛用しているニーチェア。しかし、購入を迷っているユーザーから相談されることがあります。
それは、ニーチェアを使うにあたっての
腰痛は大丈夫でしょうか?
という悩みです。
ニーチェアはラウンジチェアやイージーチェアと呼ばれる、休息系の椅子に当たるため、背もたれに角度がついていて、上体を反らして寄りかかるような作りになっています。
こういった角度が付いている椅子ほど起き上がる時に力が必要になるため、腰痛の心配をされる方が多いのです。
そこで今回の記事では、腰痛とニーチェアについて詳しく書いていきたいと思います。忖度なしで正直に書いていきますので、良かったら最後までご覧くださいね。
- ニーチェアは腰痛に悪いのか?悪化してしまう?
- 腰痛の人にはニーチェアロッキングがおすすめ
- ニーチェアと一緒に使ったほうがいいおすすめのアイテム
ニーチェアは腰痛に悪い?
結論から言います。
腰痛の度合いにもよりますが、ニーチェアエックス(脚がフラットになっているタイプ)は立ち上がる時に、やや腰に負担がかかると言えます。
現行で販売されているニーチェアには3種類の形状があります。
- ニーチェアエックス(脚がフラットなタイプ)
- ニーチェアエックスロッキング
- ニーチェアエックス80
この3種類、似ているようで実はちょっと違います。それは、座面と背もたれの角度です。冒頭で書いた通りニーチェアシリーズは休息向きの椅子ですが、その中でも細かく分類されます。
- ニーチェアエックス(フラット脚)は深い休息用
- ニーチェアロッキングは休息用
- ニーチェアエックス80は軽い休息用
ニーチェアの公式サイトから転載させていただいた、この画像が分かりやすいです。
画像を見て分かる通り、背もたれの角度が深ければ深いほど休息の度合いが強まります。反面、立ち上がる時の負担がかかるようになります。
簡単に言うと
くつろぎ度が高いほど、起き上がりにくさは増す=腰へ負担がかかる
ということ。
くつろぎと腰ダメージは反比例の関係にあるので、ニーチェアエックス(フラット脚)はいちばん休息の度合いが強いため、立ち上がる時に負担が腰にかかると言えるのです。
とはいえ、実は私自身はニーチェアエックス(フラット脚)を購入し、愛用しています。腰痛持ちではありませんでしたが、読書のために購入したので立ち上がる機会が少なく、1時間くらいは座りっぱなしになるので気になりませんでした。
私のように一度座ったら動かざること山の如し、という武田信玄的なライフスタイルの方はエックスでも問題ありません。しかし、腰痛に不安がある方は、ニーチェアエックス(フラット脚のタイプ)をおすすめしません。
良ければ私がニーチェアを買うに至った経緯も以前記事にしていますので、下記より合わせてご覧ください。
また、記事の後半ではニーチェアと一緒に使ったほうが良いアイテムもご紹介しますので、良かったら合わせてご覧ください。
腰痛の人にはニーチェアロッキングがおすすめ
そこで、腰痛持ちの方へ私がおすすめするのは
ニーチェアエックス ロッキング
です。
ロッキング脚タイプをおすすめする理由は、大きく2つあります。
- 前に傾けると立ち上がるときに楽
- 適度に動くことによって、身体への負担を分散できる
- 【番外編】エックス80もアリ
理由① 立ち上がるときに楽
背もたれの角度はやや深めになりますが、ニーチェアのロッキング仕様は座りながら身体を前後に動かせるので、前に傾きながら立ち上がると楽に立ち上がることができます。
リクライニング式の別な椅子を考えてみても、背もたれを真っすぐに近付けたほうが起き上がりやすいですよね?それと同じく、前に傾けてから立ち上がると腰の負担も少なく、起き上がるのが楽になります。
(…とは言え、体操選手風に勢いよく立ち上がると椅子があらぬ方向へと倒れてしまうので注意してください。)
また、これは別な記事で書いていますが、ロッキング機能は部屋によって向き不向きがあります。
私はどちらのタイプの脚にするか迷いに迷い、フラット脚を購入しました。(下記の記事に書いていますので、良かったらご覧ください)
ああだこうだ悩ませちゃいますが、これはひとえに
悩んだうえで買ってほしい
からなのです。
安い買い物ではないですし、悩むというプロセスが絶対に買い物を楽しくします。どんな買い物でも、買った後の生活を想像していろいろと悩んでください。
理由② ロッキング機能は身体への負担がかかりにくい
適度に動くことができるという点が、ニーチェアロッキングの最大のメリットです。ただ前後に揺れるだけですが、これが実はとても重要なこと。同じ姿勢で座りっぱなしだと同じ場所に負担がかかり、それが腰痛悪化のひとつの要因となってしまいます。
この、同じ姿勢でいるというのが身体に悪いんです。立ちっぱなしでいると疲れてしまい、体重を左足にかけたり右足にかけたりした経験はないでしょうか?人間は立っていれば体重のコントロールを無意識に行いますが、座っているとなかなか難しいんです。
ロッキングの場合は身体を動かすことにより負担を分散させられるので、「腰がすごく疲れる」のではなく、「背中と腰と太ももと肩がちょっとずつ疲れる」という形にすることができるのです。
結局疲れるの…
と思われるかもしれませんが、どんな椅子に座っても身体への負担は必ず発生します。立っているときを1とすると、座ると1.4の負担(40%増)になると言われています。
これは人間の身体がまだ座るように進化できていないから、だそうです。…でもこの話、長くなるのでまた別の機会にします。とにかくそんな感じだと思って下さい。
【番外編】エックス80も場合によってはアリ
ロッキングと同じく、エックス80タイプも腰の痛みを気にすることなく快適に座ることができます。
しかし反面、エックス80は使いどころが限られるかも?と個人的には思っています。というのも、エックス80はダイニングとリビングの中間のような応接椅子スタイルの椅子だからです。
ラウンジチェアほどくつろげるわけではなく、ダイニングチェアほどカッチリもしていないため、使い方をはっきりとイメージしておかないとどっちつかずの椅子になってしまう可能性もあります。
しかし腰への負担はニーチェアファミリーの中でも一番少ないため、ソファサイドにL字に組んで使ったり、カジュアルな来客対応に使うという使い方がおすすめです。
【腰痛対策】ニーチェアと使うおすすめのアイテムたち
ニーチェアと腰痛との関係性についていろいろと書いてきましたが、この項ではニーチェアを使うときに一緒にあったほうが良いものをご紹介していきます。
腰当てクッション
腰痛が気になる方へは特に、腰当てクッションが重要です。さらに言うと、背中から腰までをカバーできるような大きなクッションではなくて、腰の部分だけのクッションをおすすめします。
大切なことは腰周辺にすき間を作らないこと。すき間があることで腰の負担が大きくなってしまうので、すき間を埋めるようにクッションを使用します。
大きなクッションよりも腰だけのクッションのほうが良いと書いたのは、大きいと結局身体に合わないことがあり、すき間ができてしまう可能性があるためです。
おすすめのサイズは幅40cm程度、高さが20cmくらいのもので、厚すぎない、薄型のクッションが良いですね。
オットマン
結局オットマンが必要なのか…と思われるかもしれませんが、腰痛の方はあったほうが快適なのは間違いないです。
腰痛のひとつの対策として「適度に身体を動かす」と前項でも書いていますが、オットマンがあると座る体勢を変えやすいのです。
座ったままでも、オットマンへの足の乗せ方を変えたりオットマンから足を下ろしたりすれば身体の負担がかかるポイントを変えることができ、腰痛を悪化させにくいです。
ニーチェアシリーズのオットマンもいいけど、こんな感じのニットプフを合わせてもかわいい。
オットマンまではちょっと…という方は、スツールなどのほかの家具で代用しても良いですし、何らかの足置きがあったほうが良いですね。
抱えるクッション
腰当のクッションに加え、抱えるクッションもあったほうが快適に過ごすことができます。ニーチェアは肘の位置がやや低いため、ゲームをするときにコントローラーを持ったり、本を読むときには抱えるタイプのクッションが役に立ちます。
クッションがない状態だと、無意識に上体が反り気味になってしまうことがあるため、クッションを抱えるようにして使うと良いですね。
抱えるクッションは45センチ×45センチくらいのサイズ感が使いやすいです。もちろん、特に決まった用途がなく、ただ、縁側でぼーっとくつろいで座る用途だけであれば、なくても良いです。
サイドテーブル
スペースに余裕があればおすすめなのが、小さめのサイドテーブルを置くこと。無ければ無いでもいいのですが、ゆったりとくつろぐことを考えると、飲み物を置くくらいのスペースはあったほうがいいです。
都度、飲み物を取りに立ち上がってもいいのですが、起き上がる時の腰の負担を考えると立ち座りは少ないほうが良いです。
おすすめのサイズは、高さが35cm~45cmくらいのもの。天板のサイズは、何を置くか(飲み物だけか、本とかリモコンも置くのか)で選択すると良いと思います。
とは言え、ニーチェアはそのミニマムデザインが美しい椅子。ゴテゴテしたデザインのものよりも、シンプルでモダンなテーブルを強くおすすめしたいです。
ニーチェア腰痛対策・まとめ
ニーチェアエックス(フラット脚)は、腰痛を持っている方は慎重に選ぶ必要があります。比較的、腰への負担が小さいのはニーチェアエックス・ロッキング脚タイプ。
さらに、クッションやオットマンなどのアイテムを組み合わせて体圧をうまく分散させたり、適度に動いて負担箇所を変えながら座ることで身体への負担を最小限にすることができます。
ニーチェアは名作椅子です。近年に開発された機能てんこ盛りの椅子ではなく、シンプルでミニマル(最小限)デザインの傑作だと私は思います。
現代に合わせすぎた過剰な機能は快適な反面、進化の速度感が早く、未来へと存続できないことも多いです。対してニーチェアは「折りたたむ、座る」という極限までシンプルに洗練された機能だけです。
家具としての根源的な部分だからこそ、けして古くなることのない機能なのです。だからこそ、50年以上も存在し続けているんです。
良い椅子ですよ、ニーチェア。
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