インテリアコーディネーターが考えるミニマリストのための家具選び

生活の豊かさとモノの豊富さは比例しているわけではありません。少ないモノで豊かに暮らす、というのがミニマリストの理想的な暮らし方でしょう。

今回の記事では、インテリアコーディネーターの立場として、ミニマリストのための家具選びを考えてみました。

目次

ミニマリストのための家具選び・基本的なこと

兼用できる家具を選ぶ

通常はさまざまな家具を適材適所で使うことが、便利に暮らすコツではありますが、ミニマルに暮らすためにはなるべく家具の数を減らすべきです。

しかし、必ず必要な家具はあります。そこで、兼用できるような家具選びをすることをおすすめします。

例えば

  • デスクは買わず、ダイニングテーブルと兼用する
  • スツールはサイドテーブルとしても使う

など、ひとつの家具で多目的に使えるものを選ぶといいですね。しかし必要最小限にするあまり、肝心の用途として使いにくくなってしまうと本末転倒なので注意しましょう。

「買わなくていい理由」がないものを選ぶ

ミニマリスト的な思考を持っている人はすでに持っている考え方かもしれませんが、家具選びをするときは厳選に厳選を重ねましょう。

  • 「これは本当に必要か?」
  • 「1年に何回使う?」
  • 「1つの家具で兼用できないか?」

など、購入を検討するときには疑問を持ち、買わなくていい理由を上げられなかったもののみを購入しましょう。必要だけど使うことが稀なものは、知人から借りたり実家を頼るなどモノ削減を第一に考えます。

愛着を持てるデザインのものを選ぶ

インテリアコーディネーターとして、この理由は強く推します。ミニマルな生活を求めるあまり、機能性第一で家具選びをしてしまうと、生活に愛着が持てなくなる可能性があります。

これは必ずしもシンプルなものでなくてもいい、と私は考えています。ミニマリスト界隈ではシンプルなモノ選びを推奨していますが、大事なのは家の主がその家具に愛着を持てること。

これは、片づけのスペシャリストである近藤麻理恵(こんまり)さんも「心がときめく」という言葉で表現しています。

片づけの極意は、「何を捨てるか」ではなく、「何を残すか」。モノを一つひとつ手にとって、触れてみることが重要です。体の反応を感じて、ときめくモノは残し、ときめかないモノは手放す。こうすることで、自分にとって「持っていて幸せになる」「心がときめく」モノだけに囲まれた生活を手に入れることができます。

KonMari Media Japan Inc. こんまりメソッド『5ステップ』より引用させていただきました

こんまりさんは断捨離のことを書かれていますが、新しく購入するモノ選びでも同様です。愛着を持ったモノ選びをすれば、それは機能的に選んだモノよりも、より豊かな暮らしを送るパートナーとなります。

ミニマリストのための「ベッド」選び

ベッドフレームとマットレスは別に買う

フレームとマットレスは別々に購入しましょう。マットレスとベッドフレームが一体化している脚付きマットレス、というものもありますが、多くの場合はマットレスが先に劣化します。

マットレスは消耗品に近いものですが、フレームはいいものを選べば数十年使うことができます。後々のことを考え、マットレスだけを購入できるようにしておきましょう。

マットレスは国内にショールームがあるブランドを選ぶ

マットレスは、日本のメーカーのものを選ぶほうが長持ちすることが多いです。

というのも日本は高温多湿のため、マットレスに「通気性」「吸湿性」などの機能を持たせることが多いためです。同じように、フレームもすのこやルーバーを用いて通気性を上昇させる構造となっているものを選ぶことをおすすめします。

とは言え海外製であっても、大きなメーカーなどは販売する国に合わせた商品制作を行っていることも多いため、国内にショールームのあるブランドを選んでおけば間違いありません。インターネットで完結してしまうようなマットレスを購入する場合は注意してください。

ミニマリストのための「テーブル」選び

どのくらいの期間使うのか考えて選ぶ

テーブルのサイズは一般的に「使う人数」で決めます。だからこそ、テーブルはどのくらい使うのかを考えて買うことをおすすめします。

そのテーブルが一時的に使うものなのか、これから使い続けるものなのかを踏まえてサイズを選びをしましょう。2人でぴったりのサイズを選ぶと、3人家族では使いみちがありません。

「いいものを永く使う」これがミニマリストの原則です。

テーブルとデスクで兼用できるものを選ぶ

ミニマルなテーブル選びで考えられるのは、デスクとしての兼用を想定することです。兼用できることにより、家具がひとつで済みます。ただし、デスクとしての使用に当たっては

「テーブルの上で、書き物がしやすいものを選ぶ」

ことはチェックしておいて下さい。

具体的には、フチの部分が高くなっていないもの、天板が低すぎない・高すぎないものが良いでしょう。テーブルとして使えても、デスクとして使いやすいとは限らないという点は注意が必要です。

ミニマリストのための「チェア」選び

長く座っても疲れにくいものを選ぶ

テーブルとデスクを兼用することを想定すると、1脚のチェアで食事もテレワークもする可能性があります。長い時間のパソコン作業やデスクワークに向くものを選びましょう。

かと言って、ワークチェアのようなパソコン椅子で食事をするのは味気がありません。座り心地も良く、ダイニングチェアとして違和感がないものを選ぶのがおすすめです。

場合によっては「スツール」の追加を検討する

スツールは、背もたれなしの椅子です。コンパクトにできているため、様々なシーンに対応できます。

例えば

  • 来客時の簡易的な椅子として
  • キッチンでの火の番の腰かけとして
  • 植物のディスプレイ台として
  • サイドテーブルとして(座面が平らなもの)

など、多用途に使えます。来客の頻度にもよりますが、椅子を追加したい場合にはチェアは場所を取るのでスツールの導入を検討してみてください。

ミニマリストのための「ソファ」や「ラウンジチェア」選び

スペースにゆとりがあれば、生活をより快適にするためソファやラウンジチェアがあるといいですね。ミニマリストのための選び方の基準は、

ビーズクッションなど片づけられるものを選ぶ

使わないときには仕舞っておける、というのを選択の基準にしてもいいですね。

無印良品の体にフィットするソファ(俗にいう人をダメにするソファ)や、ヨギボーなどのビーズクッション系を選べば来客時に片づけられたり、別な場所に気軽に運ぶことができます。

床での生活になるためラグやカーペットがあると、より快適に過ごせますね。

メンテナンスが楽な張地を選ぶ

なるべくモノを増やしたくないという観点からは、ソファを様々なシーンで使うということも考えられます。

飲み物を飲んだりうたた寝するなどの使用が想定される場合、メンテナンスが楽な張地「合成皮革」「人工スエード」などのものを選べば、いつもきれいな状態を保つことができます。

また、一部のソファには「カバーリング」というモデルがあります。カバーを取り外すことができ、洗濯やドライクリーニングが可能となります。

ミニマリストのための「テレビボード」選び

テレビはスペースを取り、部屋での印象も強くなりがちです。もちろん、テレビを置かないという選択をするのもアリです。

本項では、「ミニマリストだけどテレビは置きたい」という視点で書いています。

壁付けのできるテレビスタンドを選ぶ

なるべく存在感を小さくするのであれば、スタンド型のテレビボードをおすすめします。テレビボードよりも軽い印象になる上、壁に寄せて使うこともできますので、無駄なスペースも必要ありません。

なお、テレビ自体がVESA規格(ベサきかく)という規格へと対応している必要がありますので、事前に確認後にご検討ください。

収納するものを考えて選ぶ

テレビスタンドではなく、置き型のテレビボードを選ぶ場合は部屋全体の収納量を把握してから選ぶといいでしょう。テレビボードに「プレイヤーやゲーム機だけを入れなければならない」というルールはありません。

持っておきたい本が多い場合、文具など「見せたくないけど持ってなくてはいけない」というものは、テレビボードに収納してしまうのもアリです。

部屋の全体で見て、箱もの家具がテレビボードだけなら十分ミニマルと言えます。

ミニマリストからモノマリストへ

ミニマリストと一言で言っても、様々なケースがあります。部屋に布団しか置いていないというケースは極端ですが、ベッドと小さなテーブルしかないというケースは意外と多いです。

私の仕事(インテリアコーディネーター)としては、モノを減らし過ぎるというのはどうにも抵抗がありました。しかし、減らすことの身軽さには一種の生活のしやすさがあることも事実です。

そんな中、堀口英剛さんという方が提唱した「モノマリスト」という概念がしっくりきました。中でも、下記の言葉がとても響きました。

「モノを極力少なくする」という考えは行き過ぎてしまうと味気のないものです。最低限のモノがあれば最低限の生活はできますが、それはあくまで「最低限」。そこからさらに生活を豊かにしようと思えば必然的にモノは増えていくはずです。

堀口 英剛さんのブログ『monograph』内の「モノマリストという考え方」より抜粋させていただきました

モノを少なくするのが目的ではなく、モノを減らした先にある豊かな暮らしとは何なのか?を想像することが一番重要です。ぜひ、モノ選びを楽しみつつ厳選してほしいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

家具のコーディネートを中心としたインテリアコーディネーター・スタイリストをしています。ジャンル問わず家具やインテリアを好み、民芸品や器、デザイン家電や植物などにも興味があります。
だいたい家にいますが、たき火は好きです。夢は、庭の広い古民家を買って、本を読みながらたき火をして過ごすこと。旅行も好きですが半径5メートルで世界が完結すればそれでもまた良し。

コメント

コメントする

目次